今回は日頃から大学やオンラインで教える際に思う、日本人が間違えやすいドイツ語についてご紹介。
代表的なテーマごとに分けてあるため、ぜひ不安な点について一度確認してみましょう。
定冠詞

日本語にはないドイツ語の冠詞はその使用がとても大変。名詞に三つの性があるだけで難しいのに、さらに格変化などもあり、その用法は複雑…
たとえば「女の子」という意味の「Mädchen」については、本人の性別が女性であるにも関わらず、中性の冠詞をつけて「das Mädchen」と表記されます。
また、冠詞を使わない僕らにとって、いつ冠詞を使ったらいいか全くわからない。ただ「音楽が好き」と言いたいとき、どうしても「Ich mag die Musik」と冠詞付きで言ってしまうなどなど。
特定可能な場合、つまり「あの…」・「その…」と訳しても問題ない場合に定冠詞をつけるようにと学びますが、実際の使い分けには慣れが必要ですね。
動詞の位置

ドイツ語を学び始めて面食らうのが、この動詞の位置について。さまざまなタイプがあるのでとても大変です。
基本的に動詞が2番目に来るのは英語でも共通するので大丈夫…と思いきや、助動詞を使った時に出てくる定動詞の後置。
まず助動詞の格変化からして大変なのに、最後に動詞を持ってこないと意味が通じないので、文の終わりまでにどの動詞を使いたいのか考えておく(覚えておく)必要があります。
それだけでなく、厄介なのが分離動詞の用法。動詞の前半が分離して文末に来るなんて、非効率的すぎやしませんか?と言いたい。
発音について

ドイツ語の壁といえば、発音の問題。よく日本語とドイツ語の発音は似てるという声も聞きますが、確かに似てるものは多いです。
ただ、日本語にはない「R」やウムラウトなどの発音に関しては、僕自身も散々困らされてきました。うがいをして、喉を鳴らす練習をしてみたり。
録音を通して、自分の発音がネイティブと大きく違うのに愕然としたり、そもそも自分の発音が伝わらなかったり、現地での生活でトレーニングされてきました。
日本国内に居ながらでも、オンラインを通して会話の機会は得られると思いますので、ぜひそういったチャンスを有効に使ってみることをオススメします!
一人でできるおすすめの発音練習法としては、ネイティブの音声を聞いて、それを真似して発声してみる。これを録音し、聞き直して、またネイティブと比較し、さらに発音し…というサイクル。
その他の間違えやすいフレーズ
〜が気に入る … gefällt mir gut!

日本語にはない表現として、ドイツ語ではよくモノが主語になります。「扉が開く」や「車が走る」など、似たような用法は日本語にもありますが、次のものはどうでしょう?
その本が気に入っているんだ!Das Buch gefällt mir gut!
「その本 Das Buch」が主語になり、動詞の「gefallen」が「私は Ich」の三格である「私に mir」をとって文を構成しています。
日本語でも確かに「…が気に入る」ということなので、物が主語として機能しているのですが、少し違和感があります。そして次のものも僕たちにとっては特殊なはず。
この本は私のものだよ。Das Buch gehört mir.
こちらは「…に属する」という意味の「gehören」が「私にmir」と共に用いられています。慣れるまで違和感がありますが、コツを掴むと自然に使えます。
寒い / 暑い… Mir ist kalt / heiß.

気温を表現するとき、ドイツ語では「私には Mir」を使って「私には寒い」という表し方をします。
ドイツ語を教えていると、「私は寒い」と表すために「私は冷たい Ich bin kalt」と表現してしまうケースを良くみます。
そして注意すべきが「Ich bin heiß」という表現。こちらは「暑い」という意味を通り越して、「性的に興奮」しているといった意味になるので気をつけてください。
似たような表現だと、「調子がいい Mir geht es gut」の代わりに「私はいい人 Ich bin gut」と言ってしまうこと。
Esの使い方

日本人にとって、馴染みの薄い表現が「Es」を使うもの。「それ」という意味のほかに、意味を持たないけれど文法上で欠かせない役目を果たすものもあります。
たとえば、「雨が降っている」と表現する場合には「Es regnet.」となりますが、この「es」は非人称の主語と呼ばれるもので、意味はありません。
ドイツ語では文の中に主語が必要となるため、「es」は不可欠となるのですが、これが僕らの感覚からするととても難しい。
その他、「今は14時です。Es ist 14 Uhr.」や「ごめんなさい… Es tut mir Leid…」など、たくさんの表現に使われるため、ぜひ慣れて使いこなしましょう!
さいごに
今回はドイツ語を学ぶなかで、日本人が特に気をつけておきたいポイントをご紹介しましたが、ほかにもたくさん日本人ならではな注意事項はたくさんあります。
日本語と大きく違うからこそ、楽しめる点も多いと思います。慣れるまでは大変かと思いますが、コツコツ学習を進めていきましょう。




